愛のはなし 夏目漱石と二葉亭四迷
夏目漱石が英語教師をしていた時のこと。
I love youを「我、汝を愛す」と訳した生徒に、
こう言ったという逸話がある。
『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。 それで日本人は分かるものだ。
二葉亭四迷は、トゥルゲーネフの小説を和訳するとき、
ロシア語のI love youを迷った挙句、こう訳した。
わたし、しんでもいいわ。
愛のことばは、伝える人の数だけある。
この冬、あなたはどんな言葉を贈りますか。
愛のはなし 夏目漱石と二葉亭四迷
夏目漱石が英語教師をしていた時のこと。
I love youを「我、汝を愛す」と訳した生徒に、
こう言ったという逸話がある。
『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。 それで日本人は分かるものだ。
二葉亭四迷は、トゥルゲーネフの小説を和訳するとき、
ロシア語のI love youを迷った挙句、こう訳した。
わたし、しんでもいいわ。
愛のことばは、伝える人の数だけある。
この冬、あなたはどんな言葉を贈りますか。
Astronomr
空のはなし ライムライトの空
チャップリンの自伝的映画、「ライムライト」。
本人演ずる老いたコメディアンと
若き美しいバレリーナの愛を描く。
足を麻痺させ、生きる希望を失ったバレリーナに、
彼は力をこめてこう励ます。
宇宙にある力が、地球を動かし、木を育てる。
君の中にある力と同じだ。その力を使う勇気と意志を持つんだ。
それは、チャップリンが自身に言い聞かせた言葉。
空を見上げ、広大な宇宙を想像すれば、
どんな困難も、きっと喜劇に変えられる。
Bill Liao
空のはなし B-Pの空
ボーイスカウト・ガールスカウトの生みの父、
ロバート・ベーデン-ポウエル男爵。
イギリスの英雄として称えられた彼も、
少年少女にとっては野外の英雄。
空の下では、名前の頭文字をとって
B-P(ビーピー)と呼び親しまれた。
彼は子どもたちを夢中にさせる
冒険やひみつを次々と生み出し
楽しみながら生きる力を育てるスカウト活動を広めていく。
世界中が第二次世界大戦にむけてひた走った暗雲の時代も、
B-Pは、他人を幸福にしなければ人は幸福になれないことを
子どもたちに伝えつづけた。
そんなB-Pが残した言葉。
真っ黒な雲を見ても、
その後ろに明るい空のあることを
忘れないようにしよう。
色のはなし スイミーの海の色
レオ・レオ二の名作絵本、スイミー。
ページをめくるたび、カラフルな海の世界に吸い込まれる。
にじいろのゼリーのようなくらげ
かぜにゆれる ももいろのやしのきみたいな いそぎんちゃく
まっくろなスイミーは
ちいさな赤い魚たちの目になって
大きな魚を追い出していく。
まるでポエムのような、絵とことばを追いかけるうちに
子どもたちは気づくのだ。
青い海の下は、いのちの色の宝石箱。
色のはなし やなせたかしの赤
やなせたかしの代表作、
「アンパンマン」がブレイクしはじめたのは
60歳を超えてからだという。
それまでの人生は、決して順風満帆ではなかった。
幼いころから劣等感に悩み、戦争も経験し、
仲間たちが次々と漫画家として売れていく日々。
悶々としていたある日、
夜中に冷たい手を懐中電灯で
温めながら仕事をしていた時。
ふと見ると、手に真っ赤な血が透けているのに彼は気づく。
自分がどんなときでも、血は赤々と流れている。
その驚きとよろこびを、あの歌詞にこめた。
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮
93歳の今もなお、第一線で働くやなせは言う。
諦めさえしなければ、人生は必ず何とかなる。
果物のはなし アレックスちゃんのレモネード
その女の子の名前は、アレックスちゃん。
1歳になる2日前に小児ガンが見つかり、
物心つく前からガンと闘ってきた女の子。
アレックスちゃんは、同じ小児ガンと戦う友だちと
ふたりでガンをやっつけようと約束します。
しかしその矢先、友だちの死に直面。
そして、彼女は決意するのです。
「ママ、私、レモネード屋さんやりたい」
売り上げを病院に寄付して、ガンの薬をつくって、
子どもたち、みーんなを元気にしたい。
そんな一心で、自宅の庭でレモネードスタンドをはじめます。
おつりを寄付する人、遠いところから駆け付けてくれる人。
アレックスちゃんの夢を支えたいと、
やがてスタンドはアメリカ全50州に広がり、
病院への寄付金は膨大な額に上りました。
8歳で天国に旅立つまで、ぎりぎりの力を振り絞って
みんなを元気にする夢を追い続けたアレックスちゃん。
そんな彼女が残した言葉。
「人生が、酸っぱいレモンをくれるなら、
それで甘いレモネードをつくればいい」
1. 冒険の話 シルヴァスタイン
絵本作家、シルヴァスタイン。
彼の代表作でもある
「ぼくをさがしに」という絵本には、
足りないかけらを探して歩く、ぼくの冒険が描かれる。
自分は何がしたいのか。
ほしいものは何なのか。
やっと何かを見つけても、 また違うものを求めてしまうのは、 まるで人生のそのもの。
絵本の中表紙には、
だめな人とだめでない人のために
という献辞が書かれている。
7. 冒険の話 マキャベリ
イタリア、ルネサンス期の政治思想家、
マキャベリは言った。
運命の女神は冷静に事を運ぶ人よりも
果敢な人によく従うようである
こんな時代だからこそ、
無難な道より冒険を。
今日も、人生も、一度きり。
1. 冒険の話 シルヴァスタイン
絵本作家、シルヴァスタイン。
彼の代表作でもある
「ぼくをさがしに」という絵本には、
足りないかけらを探して歩く、ぼくの冒険が描かれる。
自分は何がしたいのか。
ほしいものは何なのか。
やっと何かを見つけても、 また違うものを求めてしまうのは、 まるで人生のそのもの。
絵本の中表紙には、
だめな人とだめでない人のために
という献辞が書かれている。
2. 冒険の話 柳田國男
本を読むということは、大抵の場合において冒険である。
だから又、冒険の魅力がある。
こう語ったのは、
日本民俗学の祖として知られる柳田國男。
彼は子どもの頃から
膨大な量の書物に囲まれて育ち、
読書とともに大人になった。
そして、大人になるにつれて痛感するようになったのは、
書物だけで学ぼうとしたら一生かかっても足りない、
という事実だった。
柳田國男は、若干44歳でエリート官僚の道を退いた。
日本中の民間伝承を自分の足で探す冒険に出るためだった。
3. 冒険の話 高橋淳
現役最高齢パイロット、高橋淳。
御年88歳。
空を飛んだ時間、2万5000時間。
師匠と仰ぐ者たちはみな、彼を「飛行機の神様」と呼ぶ。
世界大戦が始まり、軍隊に入った高橋は
戦死することが栄誉だとされた時代、
何が何でも生きて帰ると心に決めていた。
なりたかったのは軍人じゃない。飛行機乗りなんだ。
その気持ちが高橋を守った。
終戦後はプロパイロットの養成に力を入れたが
49歳でフリーのパイロットに転身。
飛行機は車とは違い機体に個性があるため、
免許があっても、すべてを乗りこなせるわけではない。
50種類以上の機体を乗りこなせるのは、今も昔も、高橋だけ。
ひとりでも大丈夫。自信があった。
高橋は言う。
「せっかく生まれてきたんだから、
僕は死ぬまで進歩したい。」
生き方そのものを、冒険と呼びたくなる人は
今の世界に、いったいどれだけいるのだろう。
4. 冒険の話 高橋源一郎
小説というものは、
広大な平原にぽつんと浮かぶ小さな集落から
抜け出す少年、のようなもの。
前衛的な作風で知られる
小説家・高橋源一郎は言った。
学生運動で大学を除籍になり10年ほど、
土木作業員として各地を転々とした。
長く患っていた失語症のリハビリで書き始めた小説が
高橋を広い世界へ連れ出した。
今日も彼は、ひとり机にすわって
どこまでも遠くへいく。
5. 冒険の話 アーネスト・シャクルトン
アーネスト・シャクルトン。
1914年、エンデュアランス号で、
人類初の南極大陸横断を目指し、出航した。
南極大陸まで320kmの地点で、四方を氷にはばまれ、
10ヶ月ほど漂流するものの、氷の圧迫でエンデュアランス号が崩壊。
この時点で南極横断計画はとん挫してしまう。
救助を求めようと、500キロ先のエレファント島へ
なんとか徒歩でたどり着き、
さらに1,300キロ離れたサウスジョージア島へ、
救命ボートを使って再び出航。
ついに救助されたのはイギリスを出発してから約2年後のこと。
シャクルトンと、その隊員27名全員が奇跡的に生還した。
隊員を募集した時、シャクルトンはこんな広告を出している。
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。
暗黒の日々。絶えざる危険。生還の保証なし。
成功の暁には名誉と賞賛を得る」
冒険するか、しないか。
どちらを選ぶかは、
私たちの生き方の選択肢としていつでも用意されている。
6. 冒険の話 ソーントン・ワイルダー
冒険をしたいなあと思っているのは、
家にいて何事もないときである。
いざ冒険している時には、家にいたいなあと思う
こう語ったのは、アメリカの劇作家ソーントン・ワイルダー。
派手で社会的な演劇が流行した1930年代のアメリカで、
彼は、平凡な人々の平凡な日常を描き続けた。
しかし、そこでワイルダーが描いているのは、
私たちが平凡だと思っている日常が
いつもそばにあるものではなくて、
今ここにしかないものである、という事実だ。
今ラジオを聴いているあなたの日常も
今ここにしかないのと同様に。
7. 冒険の話 マキャベリ
イタリア、ルネサンス期の政治思想家、
マキャベリは言った。
運命の女神は冷静に事を運ぶ人よりも
果敢な人によく従うようである
こんな時代だからこそ、
無難な道より冒険を。
今日も、人生も、一度きり。
8. 冒険の話 日比野克彦
口の中をベロで触って、
どんな形があるか探ってみよう。
りんごはなぜりんごと言うのか
いろいろな人に聞いてみよう。
陽だまりで目をつぶって、
暖かいのがどこから来るのか
感じてみよう。
芸術家の日比野克彦は、
日比野自身に、そんな指令を出してみた。
日比野は言う。
何よりやってはいけないのは、
つまらないと思いながら仕事をすることだ。
だから、自分で面白くする努力を常にする。
小さな大冒険をやってみる。
好奇心が生まれたら、
そこはすべて、冒険の場所。
あしたの朝食べる、トーストの上にも、
ゆううつな気分で乗る、電車の中にも。
あなたの冒険が、
見つかるかもしれません。
夫婦のはなし トーマス・フラー
結婚前には両目を大きく開いて見よ。
結婚してからは片目を閉じよ。
いつだったか、友人の披露宴のスピーチで
耳にしたこのフレーズは、
イギリスの神学者、トーマス・フラーの名言だ。
新郎新婦には、まだわからないかもしれないが。
大目に見るという愛情こそが、
夫婦の関係を、深く、長く、おおらかなものにしてくれる。
Hunter-Desportes
夫婦のはなし 田辺聖子とカモカのおっちゃん
大作家であり、いくつになっても女の子、田辺聖子。
結婚は38のとき。
お相手は4人の子どもがいる開業医、
カモカのおっちゃん。
大家族の中で、原稿書いて、家事をして。
それでも1日の終わりに
おっちゃんと、お酒とおしゃべりを楽しんだ。
こうこうやろうと思ったけど
うまいこといかんかった。
女の子の田辺の肩を、
男の子のおっちゃんがたたいてくれた。
36年連れ添ったおっちゃんは、2002年に他界。
病院のベッドのわきで
そんなつもりはないのに涙を流す田辺に、
おっちゃんは一語一語くぎりながら言ったという。
かわいそに。ワシは あんたの。味方やで。
なんで五七五?と涙の合間に笑いがこぼれる。
あんたの味方。
それはきっと、愛より深い、夫婦のきずな。
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