‘薄景子’ タグのついている投稿

薄景子 18年1月28日放送

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Tiberiu Ana
鍋の話 ヨーロッパの諺

ヨーロッパの諺にこんな言葉がある。

 見つめる鍋はなかなか煮えない。

まだかまだかと蓋をあければ
煮えきらない肉や魚が顔を出す。
しかしその間、小鉢の一品でも仕込めば
気づいた頃には火が通り、
美味しいおまけもついてくる。

この言葉は、人生にも当てはまりそうだ。

待ち合わせに遅れた相手に苛立ち
何度も時計を見れば、1分が1時間に感じられ、
その間、本でも読みだせば、待ち時間はあっという間だ。

或いは、いいアイデアはないかないかと
焦るほど何も思い浮かばず、
あきらめて散歩でもはじめると、
ふらりと閃きが降りてくることもある。

待つことは、そのことだけに意識を向けること。
それは、時によけいな力みや執着を
生み出してしまうのかもしれない。

鍋はじっくりコトコト放っておくのがいちばん。
その間、別のことに集中しすぎて、煮えすぎには注意したい。

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薄景子 17年12月31日放送

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大晦日の話し マザー・テレサの言葉

今年もあっという間だったなぁ…。

1年の終わりを迎えるたび、加速していくばかりの
時間の速さにため息がこぼれる。



できたこと、できなかったこと、

いろいろあるけれど、それはもう過ぎた話。

来年はどんな年にしようかと

思いをめぐらせていると、

ふと、マザーテレサの言葉を思い出す。



 大切なのは、
 どれだけたくさんのことをしたかではなく、
 どれだけ心をこめたかです。



あと少しで2018年。

来年は、心をこめて
何かをなしとげる年にしよう。

何をするかはさておいて。

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薄景子 17年11月26日放送

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romana klee
香りの話 CHANEL NO.5

伝説の香水、「CHANEL NO.5」
ココ・シャネルがその調香を依頼したのは、
天才調香師といわれた、エルネスト・ポーだった。

彼の試作品の瓶には1から5、20から24の数字が貼られ
その中からシャネルは5番を選んだという。

5という数字はシャネルにとって、純粋で神秘的なものだった。
幼少期、修道院の孤児院で過ごした彼女が通った聖堂の通路には、
この数字が模様のように描かれ、
修道院の庭には、5つの花びらをもつ
ゴジアオイが咲いていたという。

特別な数字を纏ったシャネル初の香水は
自身の5度目のコレクションの日、5月5日に発表された。

かのマリリン・モンローが「何を身に着けて寝るのか」と
尋ねられたときの答えにも、この神秘の数字は秘められる。

「シャネルの5番を5滴よ」

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薄景子 17年10月29日放送

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写真のはなし ポール・モブリ―の写真集

フォトグラファーの、ポール・モブリ―。
彼は100歳を越えるおじいちゃん、おばあちゃんを
70人以上撮影し、ある写真集をつくった。

タイトルは、「もしも100歳まで生きたなら」。

生き生きとした写真に添えられるのは、
激動の20世紀を生きぬいた先輩たちの深い言葉。

「神さまが私をこの世にいさせてくれるの」
という、117歳のおばあちゃん。

「100歳の誕生日にも飛行機にのったよ」
と語る、102歳の元パイロット。

「心の中がどうであれ、常に笑顔を絶やさずにいなさい」
というのは、お互い再婚同士の102歳と104歳。

「ズルだけは、絶対にやってはいけない」
というのは、長年牧場につとめた101歳の人生訓。

この撮影をきっかけに、100歳まで生きることを
自分自身の目標にした、というポール・モブリ―。

彼は、長生きの人には
ある共通点があることに気付いたという。

 みなさん、自らが学んできたことを話したがり
 人に分け与えようとします。
 無口な100歳以上の人はいません。

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薄景子 17年9月24日放送

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涙のはなし ミシェル・ド・モンテーニュの言葉

自分の琴線にふれる
映画や音楽に出会ったとき。
言葉にならない感情がこみあげて、
涙が洪水のようにあふれだす。

そんな経験は誰しもあるもの。

そして、思いっきり泣いた後は
胸のもやもやまですっきりとして
心地よい爽快感に包まれる。

涙には、そんな
不思議な浄化力があるのだ。

フランスの哲学者、
ミシェル・ド・モンテーニュは言った。

「泣くことも一種の快楽である」と。

気持ちがざわめくときは、
泣ける映画や音楽の力を借りて
泣けるだけ泣いてみるのはどうだろう。

自分の涙は、
自分の心を洗うことができる
ただひとつの魔法の水なのだから。

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薄景子 17年9月24日放送

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涙のはなし ネイティブアメリカンの言葉

ネイティブアメリカンの教えに
こんな言葉がある。

あなたが生まれたとき、
周りの人は笑って、
あなたは泣いていたでしょう。
だからあなたが死ぬときは、
あなたが笑って、
周りの人が泣くような人生をおくりなさい。

人は生まれるときも、
旅立つときも、
涙とともにある。

そして、その涙はきっと
愛でできているのだと思う。

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薄景子 17年7月30日放送

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青のはなし ヴィクトル・ユーゴーの言葉

フランスのロマン主義文学の最高傑作、
「レ・ミゼラブル」。
その原作者、ヴィクトル・ユーゴーは
皇帝ナポレオン3世を強力に批判し、
19年間、亡命生活を送ったことでも知られる。

彼は、その幅広い作品の中で
社会問題を鋭く描き、権力や権威と闘い続けた。

人を信じ、自由を追求し続けたユーゴーは、
レ・ミゼラブルの中で、こんな言葉をのこしている。

 海よりも広いものがある。それは空だ。
 空よりも広いものがある。それは人の心だ。

目を閉じて感じる、広大な青い世界。
小説や詩にこめたユーゴーのメッセージは
時を越え、人々の心に無限の自由を描き続ける。

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薄景子 17年7月30日放送

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BugMan50
青のはなし メーテルリンク「青い鳥」

隣の芝生は青いというが。
他人ばかりが幸せそうに見えて
ふと、ため息でもつきたくなるときがある。

そんなときは、メーテルリンクの童話
「青い鳥」の一節を思い出してほしい。

 なんだ、あれが僕たちの探している青い鳥なんだ。
 僕たちはずいぶん遠くまで探しに行ったけど、
 本当はいつもここにいたんだ。

当たり前の日常の中にある、小さな幸せ。
そのひとつひとつに気づく心さえあれば、
幸福の青い鳥はずっとそばにいてくれる。

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薄景子 17年6月25日放送

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日記のはなし 益田ミリの「今日の人生」

日々感じているけれど、
わざわざことばにしない気持ちがある。
ことばにできない気持ちもある。

そんな心の機微をふわりと漫画に描く、
イラストレーター、益田ミリ。

彼女が、何気ない日々のできごとを
日記感覚で描いたのが
コミックエッセー「今日の人生」。

たった2コマの今日もあれば、
8ページにわたる今日もある。
切なかったり、もやもやしたり、
おいしかったり、くすりと笑ったり…。
おなじ今日は一日もなく、
どの日にもちゃあんと人生がある。

そんな「今日の人生」の1頁。

 わたしの、わたしの人生に降りかかってくる面倒なできごと
 すべて作品に昇華してみせる と、改めて思った今日の人生。

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薄景子 17年6月25日放送

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Aurelio Asiain
日記のはなし ドナルド・キーンの日記文学研究

ニューヨーク出身の日本文学研究者、
ドナルド・キーン。

日本人以上に日本文学をこよなく愛し、
平安時代から近代までの日記文学を読み解き、
千年を超える日本人像を浮き彫りにした。

日記に心を向けた理由を、ドナルド・キーンはこう語る。

 今日私が知る日本人と、いささかでも似通った人間を、
 過去の著作の中に見いだす喜びのためだったのである。

きょう誰かが書くブログの中にも
いにしえの作家たちとの共通点が見いだせるかもしれない。

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