‘薄景子’ タグのついている投稿

薄景子 17年5月28日放送

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ダンスのはなし マーサ・グレアムの言葉

 私はダンサーになるよう、神に召されたのだ。

そう言ったのは、アメリカモダンダンスの
創始者のひとり、マーサ・グレアム。

TIME誌では、彼女をDance of the centuryと称し、
20世紀を代表するダンサーとして人々を魅了し続けた。

モダンアートを反映した
独特の身のこなしと生命力あふれる肉体表現。
世界大恐慌など、深刻な世相をモチーフに
鬱蒼とした時代の孤独感をも表現した。

96歳で亡くなる直前まで、
生涯をダンス界に注いだマーサには
こんな名言がある。

 世界にあなたは一人しかいないのだから、
 自信を持って、あなた自身で踏み出して行きなさい。

それは、きっと、マーサがダンスを通じて
全身全霊で表現し続けた、魂からのメッセージ。

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薄景子 17年5月28日放送

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ダンスのはなし 森下洋子の言葉

プリマバレリーナ、森下洋子。
3歳でバレエと出会い、
11歳で一人で上京。
天性の才能とあふれる表現力、
人一倍の努力で、めきめきと頭角をあらわす。

150センチの小柄な体を感じさせない
圧倒的な存在感は、やがて世界中の人を魅了し、
東洋の真珠と謳われた。

バレエ歴60年を超えても活躍し続ける森下は
こんな言葉をのこしている。

 一日怠ると、自分がわかります。
 二日怠ると、パートナーにわかります。
 そして、三日怠ると多くの人にわかります。

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薄景子 17年4月30日放送

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図書館の話 サミュエル・ジョンソンの言葉

 人は一冊の本を作るために、図書館半分をひっくり返す。

そう言ったのはイギリスの詩人、
サミュエル・ジョンソン。

その一冊にこめられた、先人たちの無限の叡智。
図書館は、そんな知恵と知識の宝庫なのだ。

なんでも瞬時に検索できる時代だけれど
宝探しのようにワクワクする
図書館での資料探しの習慣を大切にしたい。

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薄景子 17年4月30日放送

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hetgallery
図書館の話 司馬遼太郎と図書館

歴史小説家、司馬遼太郎。
十代の頃から本に目覚めて図書館に通いつめ、
大学時代も読書に明け暮れた。
愛読書は『史記』だったという。

大学卒業後、軍隊に入った司馬は、
終戦を迎えたときにこう思った。

昔の日本人はもっとましだったに違いない。

そんな思いから、その後
新聞記者の傍ら歴史小説を書き出した。

膨大な資料をもとに
時代背景や登場人物をあらゆる角度から描き、
戦国時代から明治期にいたるまでの
日本と日本人の生き方を浮き彫りにした。

作家の原点を、本に学んだ司馬は言う。

いま、自分の十代の間に
何ごとかがプラスになったかも知れないということを考えてみると、
いくらか考えても図書館しかない。

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薄景子 17年3月26日放送

170326-03
hexion
風の話 風の名前と辻往夫

日本には風の名前が2000以上もあるという。
春の風だけとってみても、そこには
春を愛でる日本人の繊細な感性があふれている。

花を信じる風と書く花信風(かしんふう)は
花の季節の到来を告げるように吹くやさしい風。

光の風と書く光風(こうふう)は
うららかな春日和に吹きよせる風。あるいは、
雨上がりに光る日差しを浴びて吹く風をいう。

風の名前の多くは、
農家の人や漁師がつけたというが、
詩人、辻往夫は部屋を通り抜ける風に
自分だけの名前をつけた。

「風の名前」という詩の中で
辻は窓辺で風と対話する。

(お部屋の中を通っていい?)(いいよ?)

ご丁寧に許しをもらった風が部屋を通り抜ける時、
辻は手をさしのべて風の肉体にふれ、名前をつける。

 微風のマリー
 隙間風のジューン

春は人が風に恋する季節。
明日出会う風に、あなたはどんな名前をつけますか。

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薄景子 17年2月26日放送

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Yercombe
手のはなし 長田弘の「詩集は刺繍」

詩人、長田弘の作品に
自身が愛した本に向けて書かれた詩集がある。

プラトン、ニーチェ、荘子、漱石、
アルデンセンやアラビアンナイトまで。
人生で長く深く付き合ったという
友人のような25冊に寄せて、詩人の言葉が紡がれる。

たとえば、梶井基次郎の「檸檬」
に寄せた詩の一節。

 人は死ぬが、よく生きた人のことばは、死なない。

自身の中で生き続ける本の魂をリレーするかのように、
そこから長田の新しい物語が広がっていく。

彼は言う。

 詩を書くことは、いわば手仕事である。
 詩集というのは、
 心の刺繍(ししゅう)のようなものなのかもしれない。

詩集は刺繍。
その手で一針一針ていねいに紡がれた詩は、
きょうも誰かの中で鮮やかに生き続ける。

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薄景子 17年1月29日放送

170129-05

宇宙のはなし 木村資生の言葉

生物学における世界最高レベルの賞、ダーウィン・メダル。
その権威ある賞を日本で唯一受賞している遺伝学者が、
木村資生(もとお)だ。

彼が提唱する哲学の名は、
「サバイバル・オブ・ザ・ラッキエスト」。
環境に適応したものが生き残って進化するという、
ダーウィンの適者生存の理論に対し、
運のいいものが生き残るという
生物進化の新しい原理を唱えた。

木村は言う。

 生き物が生まれる確率というのは
 一億円の宝くじに
 百万回連続で当たったのと同じくらい
 すごいことだ。

私たち人間は、ひとりひとり
この宇宙に奇跡的な確率で生まれてきたのだ。
その奇跡に感謝できる時、きっと
きょう見える世界が星空のように輝いてくる。

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薄景子 16年12月25日放送

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ことばの贈りもの ボブ・ホープ

20世紀のアメリカを代表するコメディアン、ボブ・ホープ。
演劇やラジオ、映画、テレビをはじめ、
半世紀以上、軍隊の慰安興行に出演するなど、
永く広く活躍した。

生涯で2000以上の賞を受賞し、
ギネスブックでも「最も数多く受賞した喜劇俳優」と
認定されている。

その毒舌とユーモアで人々を笑わせ、
時に苦しみをも希望に変え続けたホープ。
そんな彼がのこしたクリスマスの名言がある。

 私の考えるクリスマスとは、とてもシンプルなものだ。
 他の人を愛すること。考えてみると、
 それをするのにクリスマスまで待つことはないね。

きょうクリスマスは
いちばん大切な人を笑顔にする日。
そして、それを日常にしていくことこそが
究極の愛のプレゼント。

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薄景子 16年11月27日放送

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Anthony Atkielski
のりものの話 ハインツ・シュトゥッケの自転車冒険

ドイツ人の自転車冒険家、ハインツ・シュトゥッケ。
1962年、22歳で母国を離れ、自転車で世界旅行へ出発。
70歳を超えてもその旅は終わらない。

史上最長距離の自転車旅行者として
ギネスブックにも登録されている。

そんなハインツは、姉からいつも
「おまえの人生はバケーションだな」といわれ
胸をはってこう答えるという。

 「そう、これこそが私の人生だ」

一生は神様がくれたバケーション。
それを楽しむのに必要なのは、
少年のままの冒険心と一台の自転車だけかもしれない。

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薄景子 16年10月30日放送

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お風呂のはなし ピカソの名言

20世紀を代表する巨匠画家、ピカソ。
10代で天才的な絵画技術をマスターし、
その後、「青の時代」「ばら色の時代」「キュビズム」と
画風を一新しながら、絵画界の新境地を切り拓く。

見たこともない構図、
独特の人物描写、息をのむ色使い…。
常識も既成概念も破壊する作品の数々は
今もなお世界中でリスペクトされ続ける。

生涯で遺した作品数は約15万点。
最も多作な美術家として
『ギネスブック』に記されているピカソ。
膨大な作品とともに、彼が遺した名言をひとつ紹介する。

 すべては奇跡だ。例えば、お風呂に入ったとき、
 あなたがお湯に溶けてしまわないことだって。

ためしに、今夜のお風呂で
体が溶けない奇跡を味わってみる。
天才ピカソにはなれなくても、
当たり前のことを奇跡と感じるだけで、
きっと新しい世界が見えてくる。

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