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薄景子 14年9月28日放送

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日本の「食」 西健一郎・西音松

現代を代表する日本料理人、西健一郎。
その父は伝説の京料理人、西音松。

若い頃は父親のもとで働くこともなく、
言葉を交わしたことさえ、ほとんどなかったという。
その健一郎が、父に教えを請うたのは
自分の店が各界の著名人が集う人気店になってから。

このままでは先に進めない。そう自覚した健一郎は、
引退していた父に土下座をして頼みこみ、
86歳で父が亡くなるまで、10年以上修業し続けた。

口数の少ない父親の作業をじっと見て、
その料理哲学を学びとる日々。
父、音松はよく独りごとのように
核心をつく言葉を言ったという。

 「これでいいちゅうのはひとつもない。それを言うのは死ぬ時や」

あまたの食通をうならせる健一郎の料理には、
一生学びをやめない料理人魂が生きている。

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薄景子 14年8月10日放送

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Billy Wilson Photography
1.香りのはなし グレース・ハンセン

アメリカの作家、グレース・ハンセンの言葉に
こんな名言がある。

 結婚式もお葬式も同じようなものです。
 違うのは、もらったお花の香りを自分でかげることくらいよ。

人生の二大セレモニーを
ここまで言いあてた言葉があるだろうか。

ウエディングブーケの香りは、新郎新婦の甘い記憶に、
故人が味わえなかった花の香りは、人々の胸に刻まれる。

香り。それは、五感の中でいちばん
記憶の中で生き続けるものかもしれない。

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薄景子 14年8月10日放送

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2.香りのはなし ガブリエル・シャネル

世界中の女性たちを魅了するブランド、CHANEL。
その創設者、ココ・シャネルの生い立ちは
決して裕福なものではなかった。

幼少期は孤児院で過ごし、
退屈な制服や慣習に反抗しながら育ったという。
その強靭な精神は大人になっても変わらず、
時代に先駆けて女性デザイナーとして不動の地位を確立する。

その成功の理由は、
彼女の芯の強さと男運の強さだったと言われる。
数々のセレブリティと浮名を流した
ココ・シャネルはこんな言葉をのこしている。

「香水は、貴女がキスしてほしいところにつけなさい」

「CHANEL N°5」
その香りは、恋愛から女性たちを輝かせ続けてきた、
シャネルという生き方の証。

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薄景子 14年6月8日放送

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家のはなし ジョン・ミルトン

イギリスの詩人、
ジョン・ミルトンは言った。

 
心は己をその住まいとす

どんなにのぞんでも
自分の心は他人の肉体に
引っ越しすることはできない。

人が住まいにこだわり、
自分の家を自分流にしたがるのは
そんな理由からかもしれない。

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薄景子 14年6月8日放送

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calium
家のはなし 茨木のり子の家

「茨木のり子の家」という写真詩集がある。

使いこまれて皺がよった皮のソファ。
すりガラスにきざまれた楕円のパターン。
いま見てもモダンな自宅写真の合間に
彼女の詩が美しくレイアウトされる。

 

食卓に珈琲の匂い流れ
ふとつぶやいたひとりごと
 あら
 映画の台詞だったかしら
 なにかの一行だったかしら
 それとも私のからだの奥底から立ちのぼった溜息でしたか


曳きたてのキリマンジェロの香りは、
彼女の鼻腔を通ってことばとなり、
きっとこの部屋から
いくつもの詩が生まれたことだろう。

家は、そこに住む人の匂いを記憶する。
茨木のり子の家の写真からは
珈琲の香りが漂ってくる。

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薄景子 14年5月18日放送

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学びの話1 ウィリアム・ウォード

アメリカの作家であり、牧師であり、教育者でもある
ウィリアム・ウォード。

彼がのこした言葉の中で
世界の教師たちの座右の銘となっている名言がある。

 平凡な教師は言って聞かせる。
 よい教師は説明する。
 優秀な教師はやってみせる。
 しかし最高の教師は子どもの心に火をつける。

教えるということは、
決して「押しつける」ということではない。

教師という言葉を
「人間」におきかえると
だいじなことが見えてくる。

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薄景子 14年5月18日放送

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学びの話2 ホイットマン

問題の渦中にいるときは
なかなかそうは思えないのだが。

悩み苦しんだことは、時がくるとたいてい、
あの時があったから今があるのだと
自然と思えてくるから不思議である。

アメリカの詩人、ホイットマンは言う。

 寒さにふるえた者ほど、太陽の暖かさを感じる。
 人生の悩みをくぐった者ほど、生命の尊さを知る。

すべての経験は、
あたりまえの日々に感謝するための
学びの時間。

そして、その人生に必要な学びは、
一生を終えるその日まで、
果てしなく続く。

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薄景子 14年3月9日放送

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【丹尼斯®】
からだの話 谷川俊太郎

だれかにやさしい言葉をかけてもらうと、
肩の力がふっと抜けたり、
からだがあたたかくなる感覚がある。

人のからだは、
毎日いろんな言葉をきいて
その波動を感じているのだろう。

詩人、谷川俊太郎は、
「さようなら」という詩の中で
寿命をまっとうする時の
からだへの想いをこう綴る。

 心臓さんよ どきどきはらはら迷惑かけたな
 脳髄さんよ よしないことを考えさせた
 みんなみんな悪く思うな 
 君らあっての私だったのだから

迷惑かけたな よしないことを考えさせた…
心当たりのある言葉たちが、
胸にぎゅんぎゅんしみこんでいく。

いま、こうしている瞬間も、
愚痴のひとつもこぼさずに
ただもくもくと働きつづけてくれている
自分のからだに、感謝したい。

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薄景子 14年3月9日放送

140309-06
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からだの話 がばいばあちゃん

芸人、島田洋七を育てたことで知られる、
佐賀のがばいばあちゃん。

食べるものにも事欠くほどの極貧生活を
底抜けに明るくたくましく生きた彼女の言葉は、
笑っちゃうほど豪快だった。

あるとき、洋七が38度を超える熱で
うんうんうなっていると、

 「よし、大丈夫。お前なら40度は出せる」

と言って励ました。

丈夫に大をつけて、大丈夫。
がばいばあちゃんの「大丈夫」は、きっと
どんな薬よりも、からだと心に効く。

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薄 景子 14年1月19日放送



誕生にまつわる話 宇宙カレンダー

アメリカの天文学者、カール・セーガンは
宇宙137億年の歴史を1年に圧縮した、
「宇宙カレンダー」なるものをつくった。

数字には諸説あるが、
宇宙の誕生を1月1日、
現在を12月31日と設定すると、
人類の誕生は12月31日20時48分、
キリストの誕生は12月31日23時59分56秒。

人生80年という時間は、わずか0.1秒だという。

きょうという日は、まさに一瞬の奇跡。
さて、どう過ごそうか。

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