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蛭田瑞穂 16年1月17日放送

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iwouldificould
夢と仕事 きゅんくん

「きゅんくん」こと松永夏紀は弱冠21歳の気鋭のクリエイター。
機械工学を学びながら、
ファッションとして着用するロボットを制作している。

ウエラブルカメラなどが注目を集める今、
彼女は機械を身につけることが「機械」と「人間」の
付き合い方を考えるきっかけになると言う。

小学校では「大学の機械工学科でロボット開発すること」を
将来の夢としていたきゅんくん。

将来については次のように語る。

 楽しい人になりたい。
 仕事を仕事と思わないで楽しめている人が
 いちばんいいと思います。

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蛭田瑞穂 16年1月17日放送

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Hyades
夢と仕事 J.J.エイブラムス

スターウォーズ最新作、
「フォースの覚醒」の監督、J.J.エイブラムス。

少年時代、J.J.はスターウォーズのとりこになった。
しかし、映画のVHSテープは高価で手が出ない。
代わりに彼はサウンドトラックを買った。

ヘッドホンをつけて床に寝転がり
サウンドトラックを聴いていると
音楽がストーリーの根本を伝えてくれるように感じた。

それから30年後、J.J.エイブラムスは
スターウォーズ全作品のサウンドトラックを
手がけたジョン・ウィリアムズに
「フォースの覚醒」の製作で出会うことになる。
その時の心境を彼はこう話す。

 できたばかりの映像をジョン・ウィリアムズに観せている。
 それがどんな感覚だったかなんて
 とても言葉では言い表せないね。夢のようだったよ。

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蛭田瑞穂 15年12月13日放送

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笑いのはなし 榎本健一と菊谷栄 その1

昭和の喜劇王、榎本健一が率いたエノケン劇団。
その座付作家に菊谷栄という男がいた。

劇団に所属した7年間に100本以上の作品を書き下ろし、
ヒット作を連発。榎本健一の黄金期をともに築いた。

しかし、菊谷はその絶頂期に戦争に招集され、
わずか2ヶ月後、中国で銃弾に倒れる。
34年の短い生涯だった。

のちに紫綬褒章を受賞した榎本健一は菊谷の墓を訪ね、
勲章を墓前に供えた。

 自分は彼のかわりに受け取ったようなものです。

榎本健一はそう語った。

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蛭田瑞穂 15年12月13日放送

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笑いのはなし 榎本健一と菊谷栄 その2

喜劇役者榎本健一と喜劇作家菊谷栄。

20代で出会ったふたりは意気投合し、
菊谷はエノケン劇団の座付作家となる。

民謡をジャズにアレンジした『民謡六大学』など
菊谷のつくる笑いは斬新さにあふれていた。

しかし、当時は第二次世界大戦前の軍国主義の時代。
脚本に対する政府の検閲は日に日に厳しくなっていた。

菊谷の脚本も『弥次喜多・親子編』では55ヶ所、
『メイフラワー』では88ヶ所もの削除命令が出た。

それだけの削除命令が出てもなお、
人々を笑わせることをあきらめない。
そこに菊谷栄の、プロの喜劇作家としての魂を見る。

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蛭田瑞穂 15年12月13日放送

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笑いのはなし 榎本健一と菊谷栄 その3

榎本健一率いるエノケン劇団の座付作家として
数々の笑いを世に送り出した、菊谷栄。

1937年、日中戦争が勃発すると菊谷に召集令状が届く。

故郷青森の部隊に入隊した菊谷は、
中国に赴くため列車で品川に向かった。

新宿で舞台に出ていた榎本はその知らせを聞くと、
客席に向かって深々と頭を下げた。

 この芝居の本を書いた座付作家が
 お国に召されて品川駅を通過します。
 どうか一時間だけ暇をくださることをお許しください。

「行ってこい!」。
観客から拍手で送り出された榎本健一は品川駅に駆けつけ、
僅かな停車時間に無二の親友を励行した。

それが作家と役者の今生の別れとなった。

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蛭田瑞穂 15年11月22日放送

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Photos by Lina
愛のかたち 髪結いの亭主

フランスの映画監督パトリス・ルコントの作品、
『髪結いの亭主』。

美人の理髪師と結婚する。
幼い頃に抱いた妄想を、
中年を過ぎてついに叶えたアントワーヌ。

妻マチルドが客の髪を切る姿を日がな一日眺め続ける日々。
アントワーヌにとっては夢のような生活。

しかし、その幸福は唐突に終わる。

マチルドはある日、雨のなかを飛び出し
増水した川に身を投げてしまうのだ。

夫が自分を崇拝する幸せの絶頂で死にたい。

愛するがゆえに愛から逃げる。
そんなかたちの愛もある。

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蛭田瑞穂 15年11月22日放送

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Kelvinsong
愛のかたち her / 世界でひとつの彼女

映画の誕生以来、
さまざまなヒロインがスクリーンに登場してきたが、
ひときわユニークなヒロインがいる。

アメリカの映画監督スパイク・ジョーンズの作品、
『her / 世界でひとつの彼女』に登場するヒロインは
コンピュータのオペレーティングシステム。

サマンサと呼ばれるそのOSは人工知能を持ち、
人間とコミュニケーションをとることで成長し、
やがては感情も芽生える。

妻に離婚を迫られ、鬱屈とした日々を送っていた男が
サマンサをコンピュータにインストールすることから、
人間とコンピュータの恋愛が始まる。

肉体の存在しない愛。
そんなかたちの愛もある。

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蛭田瑞穂 15年11月22日放送

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愛のかたち シラノ・ド・ベルジュラック

フランスの劇作家エドモン・ロスタンの戯曲、
『シラノ・ド・ベルジュラック』。

詩の創作と剣の腕前は一流だが、
巨大な鼻をコンプレックスに持つ主人公シラノ。
彼はロクサーヌという女性を愛していたが、
そのコンプレックスゆえに打ち明けられないでいた。

すると、ロクサーヌから意中の男性がいることを告げられる。
そして、その男性もまたロクサーヌに秘かに想いを寄せていた。

相思相愛の仲を知ったシラノは
文才のない男性に代わってロクサーヌに恋文を書く。
それはシラノ自身の想いを綴った手紙でもある。

シラノの橋渡しによって、ふたりは結ばれる。

愛のために身を献ずる。
そんなかたちの愛もある。

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蛭田瑞穂 15年10月25日放送

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音楽と人 バッハと神

モーツァルトは生活のために曲を書いた。
天才モーツァルトは音楽を愛好家する貴族の注文に応じて
すらすらとピアノ・ソナタを作曲した。

ベートーヴェンは野心のために曲を書いた。
自分の発表したピアノ・ソナタが
世間でどのような反響を起こすか。
それがつねにベートーヴェンの関心事だった。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハは神のために曲を書いた。
バッハの音楽においては神が究極の聴き手であり、
神に音楽を捧げることで、バッハは人間としての完成をめざした。

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蛭田瑞穂 15年10月25日放送

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音楽と人 バッハとコーヒー

18世紀の初頭、音楽は教会で演奏されるものだった。
その時代にバッハは街のコーヒーハウスで演奏会を開き、
音楽の裾野を広げた。

ただ、当時コーヒーハウスは女人禁制。
女性はコーヒーを飲むべきではないという風潮があった。
そんな風潮に反発して詩人のピカンテは
コーヒーはキスより素敵と訴える娘を主人公にした
『おしゃべりはやめて、お静かに』という戯曲を書き、
のちにバッハが曲をつけた。

『コーヒー・カンタータ』とも呼ばれるこの曲、
秋の夜に温かいコーヒーを飲みながら聴いてみたい。

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