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蛭田瑞穂 15年5月17日放送

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Igor Liberti
海⑧ ウィリアム・トゥルブリッジ

ボンベもフィンをつけずに潜水するフリーダイビングで
初めて水深100メートルの壁を超えたイギリス人ダイバー、
ウィリアム・トゥルブリッジ。

1歳半で水泳を習い始め、8歳になる頃には
兄とともに海底の石取り遊びに興じた。
フリーダイビングの競技を始めたのは22歳の時。
以来、数々の記録を破ってきた。

フリーダイビングの魅力についてトゥルブリッジは語る。

 水中に深く潜っていくと、呼吸も体重も音も色も、
 あらゆるものがなくなる。それは地上の世界とは完全に異なり、
 まるで海の世界へ受け入れられるような感覚なんだ。

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蛭田瑞穂 15年4月12日放送

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t.shigesa
花とことば⑦ 井伏鱒二

唐の時代の詩人、于武陵の「歓酒」は
別れの悲しみを詠った詩。

その一節、
「花発(ひら)けば風雨多し 人生別離足る」を
作家の井伏鱒二はこう訳した。

 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
 「サヨナラ」ダケガ人生ダ

春は出会いと同時に別れの季節でもある。
桜が少しだけ物悲しいのはそのせいかもしれない。

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蛭田瑞穂 15年4月12日放送

150412-08
aoryouma
花とことば⑧ 梶井基次郎

 櫻の樹の下には屍体が埋まっている!

これは梶井基次郎の短編小説
『櫻の樹の下には』の冒頭の一節。

主人公の語り手にとって、
爛漫と咲き乱れる桜はあまりにも美しすぎる。
その美しさが彼を不安にさせる。

そこで彼は想像してみる。
すべての桜の木の下に屍体が埋まっていると。

腐乱した屍体を養分にして桜は美しい花を咲かせる。
そう思うことで彼は心の均衡を取り戻す。

春。
いっせいに咲き、いっせいに散る桜に、
日本人は死のイメージさえ重ねる。
日本人にとって桜ほどとくべつな花はない。

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蛭田瑞穂 15年3月29日放送

150329-07

ロボット⑦ ロボットと文学「アイザック・アシモフ」

SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボット工学三原則」。

「人間への安全性」「命令への服従」「ロボット自身の自己防衛」
という3つの原則を示し、フランケンシュタインなど
初期のSFから繰り返されてきた「ロボットが創造主を破滅させる」
というプロットに意義を唱えた。

 ナイフに柄がついているように、
 人間がつくるものには何らかの安全装置がなければならない。

科学者でもあるアシモフはロボットのあるべき姿をそう規定した。

ロボットはやがてSFを超えて現実のものとなったが、
アシモフの提唱した「ロボット工学三原則」は
現実のロボット工学にも影響を与えているという。

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蛭田瑞穂 15年3月29日放送

150329-08

ロボット⑧ ロボットと文学「カレル・チャペック」

旧チェコスロバキアの国民的な作家なカレル・チャペック。

ある時チャペックは、人の代わりに労働をする
人造人間が登場する物語を構想した。
しかし、その人造人間をなんと呼べばいいのか。
悩んだチャペックが兄のヨーゼフに相談すると、兄が言った。

 じゃあロボットにしたら。

「強制的な労働」を意味するチェコ語の“robota(ロボタ)”。
兄はその言葉を元にロボットという名前を思いついたのだ。

こうしてカレル・チャペックの戯曲
「R.U.R.(エル・ウー・エル)」によって
「ロボット」という言葉が初めて世に登場した。

ロボットは機械でも装置でもなく、文学として生まれた。

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蛭田瑞穂 15年2月22日放送

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猫と人⑦ウイスキーキャット

世界一ネズミをつかまえたネコとして
ギネスブックに載る猫がいる。

タウザーという名前の雌のメインクーン。
スコットランド最古のウイスキー蒸留所、
「グレンタレット蒸留所」で飼われていた。

原料の穀物を狙うネズミを駆除するための猫、
いわゆるウイスキーキャットである。

ギネスブックが公認するタウザーのネズミ捕獲数は2万8899匹。
23年の生涯で一日あたり約3匹のネズミを捕まえたことになる。

その功績がたたえられ、グレンタレット蒸留所には
現在タウザーの銅像が建てられている。

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蛭田瑞穂 15年2月22日放送

150222-08
Tjarko Busink
猫と人⑧あたり猫とスカ猫

 こういうことを言うと怒る人がいるかもしれないけど
 猫には「あたり」と「スカ」の二種類がある。

猫好きで知られる村上春樹はエッセイの中でこんな持論を述べている。

「あたり」か「スカ」かは、外見や血統からはわからず
飼ってみないとわからないという。
「あたり」にめぐりあう確率はおよそ3.5匹から4匹に1匹。

飼いきれないという理由で獣医に預けられ、
たまたまめぐってきた猫が最高のあたりだったこともあったそうだ。

猫好きのみなさん、あなたの家の猫はどっちだと思いますか?

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蛭田瑞穂 15年1月11日放送

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片思い⑦ロラン・バルト

フランスの思想家ロラン・バルトは
恋愛に関する著書でこんな故事を紹介している。

昔、中国のある高官が歌姫に恋をした。
「わたしの部屋の窓の下で、百夜お待ちくだされば、
あなたのものになりましょう」、女はそう言った。
男はそのとおりに待ち続けた。そして九十九日目の夜、
男は立ち上がり、静かにその場を立ち去った。

男はなぜ待つことをやめたのか。
もちろん、それは誰にもわからない。
どんな思想家にも解明のできない難問が恋愛なのだ。

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蛭田瑞穂 15年1月11日放送

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片思い⑧ウディ・アレン

恋愛映画の名手ウディ・アレンは
恋愛に関する数々の名セリフを残している。

 恋をすることは苦しむことだ。
 苦しみたくないなら、恋をしてはいけない。
 でも、そうすると、恋をしていないということで
 また苦しむことになる。

これは「ウディ・アレンの愛と死」でのセリフ。

 恋愛とはサメのようなものだ。
 常に前進していないと死んでしまう。

これは「アニー・ホール」でのセリフ。

そんなウディ・アレンの考える究極の恋愛とは?

 長続きするたったひとつの愛の形は片思い。

勉強になります。

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蛭田瑞穂 14年12月7日放送

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贈り物⑦ ローマ教皇フランシスコ

第266代ローマ教皇フランシスコは
今年の世界コミュニケーションデイに寄せて、
こんなメッセージを発表した。

 インターネットは家族の団結や
 人間の尊い人生を保証します。
 そして、異なる文化、伝統、言語を持つ人々が
 互いに理解することのできる大きな可能性を持っています。
 それは神様からの素晴らしい贈り物なのです。

クリスマスシーズンは一年でいちばん人との絆を感じる季節。
インターネットを通じて世界中で誰かが誰かを想っている。

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