堀辰雄と周辺の人々③
堀辰雄には師と仰ぐ人物がふたりいる。
ひとりは芥川龍之介。もうひとりが室生犀星。
堀はふたりの師を深く敬愛したが、
そのふたりも殊のほか堀に目をかけていたという。
特に室生犀星は公私に渡って堀を助け、
彼の死後も残された夫人を支え続けた。
室生犀星は堀辰雄についてこんな言葉を残している。
ふだん彼と話をしていても、
何か堀の気に入りそうなことを言ってやりたい、
そういうことを対手に考えさせる、
妙な得のあった人であり
誰にも好かれるような得を持っていた。