黒澤明と七人の侍⑤
映画「七人の侍」。
美術助手を務めた村木与四郎は黒澤明から
当時の家の生活感を完全に表現することを命じられた。
村木たち大道具係は古い家屋の資料を集め、
研究を重ねた結果、
「焼き板」という加工法を考案した。
板の表面を焼き、炭を鉄のブラシでこすって落とす。
そこに泥絵具を塗り、ワックスを書けたのちに
さらにタワシで磨く。こうして戦国時代の家そのままの、
古びた色合いと質感が生まれた。
ないものはつくるしかない。
そんな創造の魂が、黒澤映画の細部にまで宿っている。