‘飯國なつき’ タグのついている投稿

飯國なつき 15年4月12日放送

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aes256
花とことば③ 山村暮鳥

山村暮鳥の詩、「風景」は、
「いちめんのなのはな」
という一節が冒頭から繰り返される。

詩人は風景を描写しない。
見たままを言葉にするだけで、
聞き手の心を、菜の花畑に連れていく。 

本能的な表現をする暮鳥のありようは、
純粋な子どもの心、と評されることもある。 
 
 

 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな 

 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな

 いちめんのなのはな
 かすかなるむぎぶえ
 いちめんのなのはな

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飯國なつき 15年3月29日放送

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mimimarker
ロボット① 倉田光吾郎

高さ4メートル、重さ4トン。
一歩踏み出すたびに地響きのように大地が動く、
そのロボットの名は「クラタス」。

大きいだけではない。
なんと、人が乗りこんで操縦することができる。
アニメから飛び出したような、夢のロボットの発売に、
世界中のロボットファンが熱狂した。
 
制作者の一人である、倉田光吾郎さんはこう語る。
 
 4メーターサイズのロボットが動いたら、
 怖いのか、面白いのか。
 そういう感覚をいっぺん感じてみたかった。

 
誰よりも、自分が欲しいから作る。
そんな製品開発があっても、いい。 

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飯國なつき 15年3月29日放送

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Takashi H
ロボット② キロボ

2013年8月、
宇宙に初めて行った、ヒト型コミュニケーションロボット、
「キロボ」。
 
国際宇宙ステーションでは
宇宙飛行士の若田さんと会話実験にも取り組み、
その様子を動画で、地球に届けた。
 
若田さんが一足先に地球に帰還するとき、
「一緒に帰れなくてごめんね」と謝ると、キロボはこう返事した。
 
 気にしないで。僕が乗ると、定員オーバーになっちゃうから…
 
無機物であるはずのロボットに、
多くの人が、少しだけ、涙した。

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飯國なつき 15年3月29日放送

150329-03
kirainet
ロボット③ ブルーノ・メゾニエ

『世界初、感情を理解するロボット』と銘打ち発売された「Pepper」。
これまでのロボットとは一味違う軽妙なしゃべり口で、
お笑いコンテストにまで出場した。
 
開発を担当したのは、アルデバラン・ロボティクス社。
CEOのブルーノ・メゾニエは、
Pepperの上半身だけが人型なのはなぜ?と記者に問われ、
こう答えた。

 コミュニケーションの大半は頭と腕、胸の部分で行うからです。
 コミュニケーションにおいて脚はそれほど大切ではありません。

 
ロボットの開発は、
「人間とはどんなものか?」を浮き彫りにしていく作業でもある。

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飯國なつき 15年2月22日放送

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Alex Dram
猫と人①佐野洋子

「100万回生きたねこ」は、
出版から約40年経った今も、たくさんの親子に愛され続けている絵本だ。
 
実は、作者の佐野洋子は、猫がキライだった。
「何でも分かったような顔をしてこっちを見る」とぼやくように、
佐野の描くねこは、どこか人間臭く、小憎らしい。
 
しかし、キライといいながら、知人から貰い受けたり、引き取ったり…
佐野の人生は、たくさんの猫にかこまれていた。
 
「動物は立派に死ぬ。あたしもそうしたい」
 
死んだ飼い猫を引合いに出しながら、そう語った。
 
立派な死に方、幸せな死に方を教えられる絵本は、そう多くない。
「死」がわかる大人になって読むと、また一味違うものだ。

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飯國なつき 15年2月22日放送

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樹/Tatsuru
猫と人②谷啓

「ずるぬるの技」は、
横たわり、両手を伸ばして爪を立て、
何かをたぐりよせるしぐさ。
「そば粉練り」は指を広げて爪を出し、モノを掴むように動かす。
「スゴツオ」は、顔を強く擦りつける。
 
これらはすべてコメディアン谷啓が考えた、猫のしぐさの
前である。
 
「ガチョーン」「ハラホロヒレハレ」などのギャグを生んだ谷は、
猫との暮らしの中でも、たくさんの造語で遊んだ。
 
サービス精神旺盛で、
いつでも人を楽しませ、自分も楽しんでいた谷啓。
そんな彼の人柄は、猫との暮らしのひとコマからもうかがい知れる。

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飯國なつき 15年2月22日放送

150222-03
K-nekoTR
猫と人③長谷川燐二郎

柔らかな布地の上に緩んだ体を横たえ、
スヤスヤと眠る一匹のトラ猫。
しかし、なぜか左側にしかヒゲがない。

その絵を描いたのは、画家の長谷川燐二郎。

モデルとなった猫タローは、毎日同じポーズをとってくれたが、
寒い季節になると、丸まってしまう。

 九月の気候だけが、タローにこのポーズをとらせるということが判った。
 この画を続けて描くのは、来年の九月まで待たなくてはならない。

現実を描くことにこだわる燐二郎は、
カンバスを戸棚の奥にしまいこんだ。 
そうして何年もかけて描き、残すはヒゲだけ。
ところが、同じポーズをとらせるべく、季節を待っているうちに、
タローは他界してしまう。

のちに、燐二郎は想像でヒゲを書き足した。
申し訳程度に、左側だけ。

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飯國なつき 14年12月7日放送

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贈り物① よさこい節

 土佐の高知の
 はりまや橋で
 坊さん
 かんざし買うを見た

高知県に伝わるよさこい節は、
江戸時代に起こった実話をもとにして、作られたと言われている。

竹林時のお坊さんであった純真は、
修行中の身でありながら、
お馬という女性と恋に落ちてしまう。

お坊さんであっても、恋い慕う気持ちはもちろん同じ。
お馬にあげるかんざしを、こっそりと買い求めた純真だったが、
街の人に目撃され、噂が立ってしまう。

駆け落ちを試みるも失敗し、
ついぞ、二人が添い遂げることはなかった。

純真の思いの丈のつまった一瞬は、
今も、民謡として歌い継がれている。

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飯國なつき 14年12月7日放送

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びぃ
贈り物② 伊藤理佐「おいピータン!」

漫画家、伊藤理佐さんの作品「おいピータン!」。
登場人物のひとり渡辺さんが、誕生日を迎えた時のこと。

同じ職場の彼氏は、なぜかその日はお休み。
「誕生日の私が働いているのに…」
と、いらいらする渡辺さん。

彼氏の家に行ってみると、思わず感激する。

大量の本を片付けるために棚が手作りされ、
電球は全部入れられ、
布団もちゃんと片付けられ…
渡辺さんがずっと気にしていたことを、全部やってくれていたのだった。

そして、おまけのプレゼントは、
渡辺さんが「一度やってみたい」と言っていた、
いくらの食べ放題で、大喜び。

どうすれば相手が喜んでくれるか。
それさえ大切にしていれば、
贈り物の形は、もっと自由になっていいのだ。

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飯國なつき 14年12月7日放送

141207-03

贈り物③ マルチン・ルター

クリスマスの贈り物に、
親はいつも悩まされるものだが。

1535年、まだ貧しい大学教授だった
宗教改革の創始者マルチン・ルターは
子供たちへの贈り物を買うお金にすら困っていた。

しかし妻から、
子供たちの好きな肉団子のスープを作るから大丈夫、
と励まされ、ルターは歌を作って贈り物にすることを決める。
山から抜いてきたもみの木の周りで歌った歌は、
翌年以降も一家の定番となった。

後にルターはこんな言葉を残している。

 ドイツの国をくれるといわれても、
 私は、それよりも、優しい妻がいる家庭を選ぶ。 

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