**Mary**
それぞれの人生② 牧野富太郎
「日本植物学の父」、牧野富太郎。
採集した標本は約50万点、命名した植物は2500以上という
おびただしい実績を持ちつつも、
成果が認められだしたのは、晩年になってからのことだった。
それまで、生家の没落、大学での冷遇などの憂き目にあいながら、
1人でコツコツと、植物の研究に明け暮れていたという。
一生を植物にささげた牧野の、
植物に対する深い愛情を感じさせる、
こんなことばが残っている。
花は黙っています。
それなのに花はなぜあんなに快く匂っているのでしょう?
思い疲れた夕など、窓辺に薫る一輪の百合の花を
じっと抱きしめてやりたいような思いにかられても、
百合の花は黙っています。