月曜日は、憂鬱だった。
火曜日も、水曜日も、木曜日も穏やかだし、
ましてや金曜日に至っては浮かれているのに、
月曜日の心は、いつも重く、ブルーだった。
月曜日は、思った。
どうして俺、月曜日なんだろうかと。
月曜日にとって、月曜の朝はまさに苦痛だった。
サラリーマンや学生たちはみな、
自分の訪れを疎ましく思っていた。
また月曜になっちゃったよ――
彼らの暗い顔を見るのが、月曜日はなにより辛かった。
子供たちは、さらに残酷だ。
前日の夜、テレビでサザエさんという番組の
エンディングテーマが流れる頃になると、
すでに月曜日が来るのを嘆き悲しみはじめる。
早すぎるだろ!どんだけ嫌われてるんだ俺。
自分なんて、いないほうがいいんだ。
いっそ、平日が火曜日から始まればいいのに。
そんなふうに思うこともしょっちゅうだった。
ほかの平日の連中たちは、
月曜日は週のトップバッターって感じで、いいね、
なんてことを呑気に言うが、
あいつらは俺のプレッシャーをまるでわかってない。
同じ平日と思われるのも、心外だ。
平日。そう、俺は平日。
自分がもし土曜日や日曜日のような休日だったら、
と月曜日は思った。
人々はみんな、自分がやってくるのを心待ちにしている。
早く来ないかな、月曜日。まだかな、月曜日。
映画「マンデーナイトフィーバー」が大ヒットして、
田中星児が「ビューティフルマンデー」を歌う。
そんな月曜日だったなら、どんなにいい気分だろう。
どんなに人々を素敵な気分にさせられるだろう。
でも、それは夢のまた夢。
ブルーマンデー症候群。月曜日は週で一番自殺者が多いらしい。
ブラックマンデー。株の大暴落も、自分のせいな気がしてくる。
月曜日を描いた歌は、大抵暗い。カーペンターズにも、ディスられた。
俺は、月曜日。嫌われ者の月曜日。
週休2日制になった時。どうして、「土日」じゃなくて、
「日月」にならなかったのだろう。
週のはじまりが日曜日ならば、日月と来るのが道理ではないのか。
土曜日の奴は、水面下でロビー活動でもしていたのだろうか。
国の連中もようやく最近になって、
3連休に絡めてハッピーマンデーなんてことをやり始めたが、
まるで浸透してないし。むしろ前のほうが良かったねと囁かれる始末。
どこかでボタンが掛け違ったとしか思えない。
ホントは、月曜日だって、日曜日だって、何曜日だって、
同じ1日で、週に一度しかなくて、人生に一度しかなくて…
そんな正論を訴えたこともあった。
金曜日は、そうだね、と鼻で笑うだけだった。
花金とか呼ばれ始めたころから、コイツ嫌い。
マンデー。M・O・N・D・A・Y。
ローマ字読みすると、モンダイ…。フッ
一週間の問題児だな、俺は。
月曜日がそんなことを自虐的に思っていると、
どこか遠くで、かわいらしい小さな声が聞こえた。
「はやくげつようびにならないかな」
え?誰?いまなんて言った?
「げつようびになったら、ランドセルしょってがっこういくの」
小さな女の子が、ピカピカのランドセルを、
親戚のおばさんに自慢していた。
そうか…こういう子も、いるんだな。
もしかしたら、月曜の朝に暗い顔をしている
サラリーマンも学生も、
昔はこの子みたいだったのかもしれないな。
それがいろいろあって。
人間も人間なりに、大変なんだろうな。
今度の月曜は、女の子のランドセルが濡れないように、
なるべくいい天気にしてあげよう、と月曜日は思った。
そして、女の子が青空を見上げて、
手を大きく振り、元気に登校していく様子を想像して、
ちょっとだけ陽気になった。
出演者情報:瀬川亮 03-6416-9903 吉住モータース
中山幸雄さんのブログでこのサイトを知り、やってきました。
CMなど、じっくり見たり聞いたりする機会などあまりありません。
ラジオの広告は特に、10代の私には見聞きする機会がありませんでした。
しかし、心に、記憶に残る広告はやっぱりあるもので。
たくさんのメッセージをここで拝見することができ、本当に今感激しています。
ラジオの広告(番組と言うべきでしょうか?)は、何だか大人の絵本のようで。
聞いていて凄く楽しいです。
この活動を知ることができ、本当に良かったと思っています。
そしてこの感動を、身近な人から少しずつ伝えていけたらと思います。
これからも頑張ってください。陰ながら応援しています。