白神
ストーリー 奥本 真司
出演 山田キヌヲ
深い森を抜けると静かな小川に行き着く。
ここから道は険しい登山道に変わる。
晩秋の日はすでに傾き、
午後の柔らかな光を木々の間から幾筋も川原のあちこちに落としている。
小川の流れる音だけが深い静寂の中で時間を運ぶ。
千年の過去も未来もこの静寂の中にある。
その中に立って目を閉じれば、
一息ごとに僕の輪郭は曖昧になっていく。
足元の柔らかい地面への確信は揺らぎ、
静寂がゆっくりと覆いかぶさってくる。
そしてそれが、巨大な意思のようなものであると知る。
この静寂の中で一つの命は森と交わり溶け合っていく。
一本の木が、一匹の虫が、一頭の動物が、一輪の花が、
一人の人間が。 大きな恐怖と、
その先にどうやら深い喜びのようなものを感じるのは、
それが死であり、また新たな命を生むものだからだろう。
この静寂こそが無限の母性。
この静寂こそが太古からの神々の姿。
ここは白神の森。白神の山。神々の土地。
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