陸羽東線
樹々の梢を下に見て、列車は進みます。
空がとても近くに感じられます。
山形の新庄という駅から乗った陸羽東線は
二両編成のワンマン列車でした。
スノーシェードをいくつもくぐりながら登り道を行くと
山に閉ざされたところどころに
つつましく田圃のひらけた土地があります。
その田圃のなかにホームがあって列車が止まります。
このあたりの田圃は、きっと
山の仕事をする人たちが自分の食べる米をつくるために
一生懸命に開いた田圃です。
売るほどはなくても米が獲れ
ホームしかない駅には、それでも列車がやってきます。
まわりは山と峠に囲まれ、うるさい音がひとつもありません。
川に鮎の鱗が光るころには蛍も飛ぶのでしょう。
樹々が色づくころには、
冬に備える山の恵みがあるはずです。
それはとても静かで満ち足りた風景でした。
そんな小さな集落をいくつも結びながら
列車は奥羽山脈を分け入っていきます。
それは単なる移動手段ではありません。
人のいる土地を避けてトンネルばかりくぐりながら
フルスピードで走り抜ける列車とはまったく異なる存在です。
陸羽東線は、そこに住む人のゆるやかなテンポと
呼吸(いき)を合わせて走るのです。
ふるさとの暮らしと深く結びついているのです。
もう一度乗りたいな
僕はいつもそう思って、あの列車を振り返っています。
東北へ行こう
トレたび:http://www.toretabi.jp/travel/vol01/01.html
鳴子温泉郷観光協会:http://www.naruko.gr.jp/index.php
山形最上温泉郷・瀨見温泉:http://semi-spa.com/html/map.html
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