蔦温泉

蔦温泉

       ストーリー 堀内有為子(ほりうちゆいこ)
          出演 内田慈

青森駅から十和田湖へ走るバスを奥入瀬で途中下車して
蔦温泉に立ち寄った。
次のバスは2時間後だが急ぐ旅でもない。

蔦温泉は
十和田樹海とよばれる樹齢数百年のブナ林にひっそりと佇む。

およそ千年前に開かれたという源泉かけ流しのお湯は、
無色透明でやわらかく
からだ中のコリがほぐれて、溶けだしていくように思えた。

湯から上がり、宿の前のベンチで
風にあたりながら心地よさを反芻していると、
手持無沙汰に見えたのか、
宿のご主人が自慢の散歩道を教えてくれた。

それは宿を囲む森を
いくつもの沼をめぐりながら歩く散歩道で
キラキラと木漏れ日が降りそそぎ
まるでモネの絵の中にいるようだった。

奥入瀬に来るたびに新しい散歩道が増える。
来てよかった!と感動をくれる場所は、
案外目指していた場所ではなく、
出かけた先で迷い込んだり、教えられたりした場所が多い。
奥入瀬という、地図の中の小さなスペースが、
いま私の中でグングン大きくなっていく。


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