武田義史のカンヌの誘惑-⑥

半日でもコートダジュールを満喫できるお城巡りのご案内

久しぶりにカンヌのWebサイトを覗いてみたら、
アワードへのエントリーが締め切られ、セミナーの詳細も発表されていました。

目立ったところでは、恒例となったセレブリティゲストですが、
今年はサラ・ジェシカ・パーカーが6/16に登壇するようです。
個人的には6/18に開催される、あのボルボのジャン・クロード・ヴァンダムの
股割りCMを制作したエージェンシー、
Forsman & Bodenforsの『THE EPIC LECTURE』に興味があります。
1か月後に迫った今年のカンヌ、今から楽しみですね。

早くも今年の受賞予想をされている方もいらっしゃいます。
http://www.pinterest.com/mrcreativerebel/cannes-lions-2014-prediction/

今回のコラムですが、
今まではカンヌライオンズを有意義に過ごすためのTIPSを紹介しましたが、
とある方から「せっかく南仏に行ったのに観光しないんですか?」
という鋭い?質問があったのでお答えしようと思います。

カンヌをものにしようと会場に籠ってしまうと、
展示鑑賞やスクリーニング、セミナーの予定が矢継ぎ早に入ってきて、
観光に時間を割くことが難しいのですが、
会期半ばくらいにはさすがに集中力が持たなくなります。
そんな時に、一日をかけて人気の観光地であるモナコ、鷹の巣村のエズ、
マティスのロザリオ礼拝堂があるヴァンスなどに行かなくとも、
”半日”でコートダジュールを満喫できる場所がありますので、ご紹介いたします。

海を満喫したい方へは、アンティーブ(Antibes)

カンヌ駅から各駅停車に乗り、4つ目の駅、約10分で到着するのがアンティーブ。
昨年の勝浦さんのコラムでも紹介されていたピカソのアトリエがあった
グリマルディ城(現ピカソ美術館)がある街です。
駅から南西へ徒歩15分くらいで海岸沿いの旧市街に到着できます。
おすすめはやはりピカソ美術館で、ここのテラスから眼下に広がる海は、正に”紺碧”。
お城の北に広がる白砂の砂浜から豪華なヨットが停泊する港を散策すれば、
ちょっとしたモナコ気分を味わうことができて、心地良いです。

旧市街に目を向けるとプロバンス市場という、いかにも地元っぽいマルシェ、
迷路のような小道沿いに並ぶお土産物屋、
街の中心となる広場にはオープンテラスがあるレストランが立ち並んでいます。
小さな街なので、散策してランチを食べても
カンヌには午後早めに戻ることができるでしょう。

エズに行かなくても鷹の巣村を満喫できる、カーニュ・シュル・メー
(Cagnes-sur-Mer)

コートダジュール名物、
山頂に点在する城郭に囲まれた中世の街”鷹の巣村”といえば、エズ村が有名ですが、
タクシーをチャーターする以外でエズに辿り着くには、ニースまで国鉄で行き、
さらに駅から遠いバスターミナルから1時間に1本しかない路線バスで30分という
一日がかりの観光となってしまいます。
そこでお勧めなのがアンティーブからニース方面へ約5分、3つ目の駅、
カーニュ・シュル・メール。
ここには南仏のモンマルトルといわれる鷹の巣村オー・ド・カーニュという
グリマルディ城を中心とした中世の村が存在します。
殺風景な駅前から大通りを北東方面に歩くと急坂に出合うので、
その坂を20分程上るとお城直下の頂上広場に辿り着きます。
広場には3軒のレストランがあるのでランチができます。

お城の中は地中海近現代美術館に改装されて一般公開されているのですが、
お勧めポイントは階段を上りつめた先にある最上階の展望台。
眼下に広がる旧市街の先に広がる地中海は間近で
眺める海とは異なる表情で空と海の境界が融けるほどのターコイズブルー。
また、美術館の展示の方は近くにルノアール終焉の家があることから、
ルノアールの晩年の作品やアトリエが再現されていました。
エズと比べると観光地化されていない分、
静かで日本人観光客もほとんどいないので個人的にはこちらの方が好みですね。

灯台下暗し?カンヌの穴場的展望スポット“カンヌ城”

カンヌ城とは通称で、正式にはノートル・ダム・ド・レスペランス教会と
ラ・カストル博物館。中世の修道士から作った城塞で、
カンヌライオンズ会場から西方面、
カンヌ旧港から旧市街シュケの丘の坂道をそれとなく登っていくと
5分くらいで到着する、カンヌ市街や地中海を一望できる展望スポットです。
会場から目立つ場所にあるので、誰もが目にするはずですが、
実際に登って行った人は少なく、観光客も欧米人が多かったです。

会期中、集中力がなくなった時やエアコンで身体が冷えた時には、
幾度となくここを訪れて遠くの青い海を見ることで鋭気を養い会場に戻ったものです。朝、昼、夕方と異なる表情をみせてくれるところがいいですね。
ラ・カストル博物館の開館時間内であれば、塔に登ることができて、
そこからは地中海を間近に感じられる360°ビューを満喫できるでしょう。
なお、朝夕の人通りが少ないときは、怪しい雰囲気が漂っているので、
強盗にはくれぐれも気をつけてください。

その他としては、私は行ったことがないのですが、
カンヌから電車で35分くらい内陸に入ったところにある香水の都グラースで、
香水博物館やフラゴナールの工場を見学するのも南仏らしいのではないでしょうか。
詳しくはこちらからどうぞ。http://www.mycotedazurtours.com/?p=1540

私自身が初めてカンヌに行ったときに、ネットやガイドブックを見ながら、
“観光する時間くらいあるでしょ”と高をくくっていたのですが、
いざ現地に行ってフェスティバルのスケジュールに沿って日々を過ごしてしまうと
周りの空気に飲み込まれて、
観光に一日を割くというのは結構大きな決断を要しました。
カンヌを吸収しようと意気込んで自費でやってきた場合なら、
”もったいない“と思われるかもしれません。
しかし、せっかくのコートダジュール、
半日ではあれば、目玉セミナーが開催される昼過ぎまでには戻れるので、
ランチを口実に少し足を延ばすことをおススメします。

尚、電車を利用する際は、お国柄ストが多いので
事前にネットや駅で確認するなど気をつけください!


カンヌ公式サイトhttp://www.canneslions.com/home/
日本語の案内サイト:http://www.canneslionsjapan.com/about/


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