けっぺいくん
静かにしているな、と思ったら、
息子は絵を書いていた。
息子は3歳で、名をけっぺいと言う。
「何書いているの?」
「アンパンマンと、とりにくだよ」
「とりにく?」
「そう」
「なんでとりにく?」
「アンパンマンはとりにくが好きなんだからだよ」
「へえ・・」
初耳である。
「けっぺーくんね、英語あんまり好きじゃないの」
息子との会話は唐突に話題が変わる。
保育園での英語の時間のことを言っている。
外人の先生が来てくれる。
「先生はおもしろくしようとしてるんだけどねえ」
シニカルな評価である。
「パパ、サメのマネできる?」
「さめ?」
「けっぺーくんできるよ」
そう言って息子はパーに開いた手を額の上にのせ、
睨みをきかせたこわい顔をする。
「あはは、サメだ」
僕が写真を撮ろうとスマホを取り出すと、
息子はサメのマネをやめて、
スマホを取り上げいじりだした。
でたらめにパスワードを入力してはミスになり、
「パスワードがちがいます」
と言いながらケタケタ笑っている。
そういえば、
この前仕事中に妻から電話がかかってきた。
「けっぺいがチョコレートを見つけちゃって、
ダメだよ、って言うんだけど、
だったらパパに聞いてごらん、っていうから電話したの。
・・・・あ、けっぺい、コラー」
妻が僕に電話を掛けている隙に
けっぺいはチョコレートのふたを開け、
2~3個食べてしまったそうだ。
なかなかの知能犯である。
そうこうしているうちに、
息子がいじっているスマホに電話が掛かってきた。
上司の名前が見える。
僕はあわててスマホを取り返そうとしたが、
もみ合っているうちに電話は切れた。
「あーあ」
と息子は無責任な感じで言って
スマホを返してくれた。
折り返そうとしたが、スマホは動かなかった。
パスワードの間違いすぎで
セキュリティが掛かってしまっていた。
「なぜ折り返さないんだ!」
と怒る上司の顔が浮かんだ。
息子はと言うと、
そんな父の不安に気づくはずもなく、
「ブロックで自動販売機つくろっか」
と楽しそうにブロックの箱をひっくり返した。
私は、宝塚大学・新宿メディアコンテンツ学部の学生の塚本と申します。
今回大学の授業の課題で、広告表現についての研究レポートを書くことになり、岩田純平さんの携わられたJT・ルーツの広告「それでも、前を向く」について取り上げようと思っております。
そこで、岩田さんに取材をさせていただければと思い、コメントいたしました。
もしよろしければ、三つほど質問させて頂いて、メールにて回答をいただければと思っております。
以下が取材内容です。
①竹之内豊さんを起用した理由・またその経緯
②「それでも前を向く」シリーズのアイディアを、どこから思いついたのか?
③岩田さんが考える、竹之内豊さんの「面白いところ」
①と③で少々内容が被るところがありますが、以上の質問について、回答を頂ければと思います。
一学生のレポートに付き合っていただくので大変失礼なお願いかと思いますが、ご協力いただけるなら幸いです。
お忙しいようでしたら、無回答・無返信で結構です。
それでは、よろしくお願いいたします。