「川まで食べて。」
「川まで食べられます」
って、メールで誤変換した。
皮を剥くほうじゃなくて、
riverの「川」のほう。
先輩が家を建てたお祝いに
ぶどうを持って行って、
「ちなみにそのぶどうは、
皮まで食べられるやつです」って、
帰ったあとメールで
追伸しようとした時のこと。
流れてる川、飲むならともかく、
食べちゃってどーすんだ。
そう独りツッコミを入れながら、
おなじ頭で、多摩川は食べにくそう。
最後のほう、砂利おおそうだし。
って考えてる自分がいた。
利根川は関東ローム層多め。
なんか口のなか、「渋-っ!」てなりそう。
神田川沿い・御茶ノ水あたりの緑色の水って、
子どものころ、本当のお茶だと勘違いしてたけど、
食べたら実際、抹茶だったらいいのに。
隅田川を食べたら、
屋形船をスイカのタネみたく、
ペッ、ペッ、と吐き出さなきゃだね。
上流の荒川は、
土手を残したらダメかしら。
四万十川はところてんみたいに、
すきとおっていそうだね。
安倍川を食べつくしたら、
「安倍川餅」は
ただの「餅」になっちゃうね。
長良川はいちど食べた後、
鵜みたいに吐き出さなきゃかな。
石狩川。シャケも、シャケを捕るクマも、丸呑みだ。
「川の食べ方」なんてハウツー本が出るのも、
時間の問題かもしれない。
「川ソムリエ」を名乗る奴も現れて、
「30年ものの鴨川、置いてます。」
「今年の富士川は、ここ10年で1番の出来」
なんて、きっとドヤ顔で語りだすんだ。
川の養殖も、盛んになるだろうな。
日本じゅうが、何かの川の養殖場。
増えまくった川を宇宙ステーションから見て、
「日本は青かった。」なんてセリフ、
誰かが言いだすね。100%言いだす。
そうこうするうちに、日本最長の信濃川を
ノドにつまらせる事件が多発して、
川をまるごと食べるのは危ない!
みたいな空気になって、
ひと口サイズの川が、店頭に並んだりして。
もはやそれ、川じゃないけどね。
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