「おかえりが待っている東北」
ストーリー 宇野美優(東北芸術工科大学)
出演 大川泰樹
ぶらりと乗り込んだ電車のドアは
ボタンを押さないと開かなかった
こりゃ驚いた
ホームに降りると改札口がなかった
ただただどこまでも銀世界が広がっていた
悲しいくらいキレイだった
雪を踏みしめて歩くと、キリキリ音がする
雪ってこんな音がするんだ
夢中になってキリキリする
ぽつりぽつりと人とすれ違う、
そのたびに「おかえり」と声をかけられる
ここではみんなが家族のようだ
僕は「こんばんは」と返事をした
民宿についてすぐ銭湯に行った
真っ黒に日焼けしたじっちゃんに
「おめどっがらきだ?」ときかれた
「東京です」って答えると
「物好きだなあ」とケラケラ笑いながら
お気に入りの場所を教えてくれた
民宿につくとまた「おかえり」と言われて
ほかほかのご飯が出た
「何もないけど」と言いながら
食べきれないほどのお菜を並べてくれた
なんだかこの町は
無条件でずっと居てもいいよって言われているみたいで
なんだかとてもくすぐったくて幸せだ
東北へ行こう
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