僕はおみくじ
ためらいがちに 手を伸ばし
君は僕を 引き寄せる
それは 偶然が必然になる瞬間
君は すこし驚く
あっと ちいさな声をあげて
君が望んでいたのは
どんな 僕だっただろう
ほんとうは
世界でいちばんの 大きな幸運
でなくても
中くらいの幸運 人並みでいいから
あるいは
ささやかな幸運を 神に祈って
君は 両手を合わせたのだったか
けれども いうまでもないことに
ひとは 思いもよらぬ不運を
引き当ててしまう こともある
それもまた この世の習い
悲しみに出会うことのない人生は
この世には ないから
君を喜ばせる 僕もいれば
心配させ 不安にさせる僕もいる
それでも わかってほしい
ただ喜ばせるために 僕はいない
そして ただ不安にさせるためだけの
僕もいない ということも
旅行には 行くといい
くれぐれも 盗難には気をつけて
転居も 考えていいだろう
そうすべき理由が あるとすれば
商売は そこそこ 欲を出さずに
相場は リスクを忘れずに
方角は 気分の明るくなる方へ
縁談は 焦らずに待って
ひとつひとつは 君への想い
せいいっぱいの メッセージ
僕は君の 勇気になりたい
僕は君の おみくじだから
そして 待ち人は まだ来ない
それが誰のことかもわからないまま
ずっと待ち続ける 君のために