もしも僕らが一年に一度しか会えなかったとしたら
テレワークの日々がつづいた
いっしょにいる時間が増えたよね
劇的に
ケンカも増えたね
エアコンの 使い方とか
トイレの…… 汚し方とか
日々の生活って ほんとうにささいな
ディテールの帳尻で できている
君はネットフリックスで
韓流ドラマを観る
僕はスポティファイで
80年代シティポップスを聴く
そんな日々に
ロシアなる国が
ウクライナなる国を陵辱し
虐殺とレイプが
平然とニュースになった
この世界で
君と僕が ささいなことで
言いあらそう
戦争のニュースが つづく日々に
天の川の見えない 東京の空の下で
いつのまにか
戦争の専門家なる人物たちが
連日連夜 登場するようになって
誰も怪しまない
せめて リクエストを
ジョン・レノンの「イマジン」じゃ
もの足りない
あの歌を歌ってくれ 「戦争の親玉」を
ノーベル文学賞の ボブ・ディランよ
アルフレッド・ノーベルも
それを望んでいるはずだ
大砲をつくるやつら
爆弾をつくるやつら
戦争でもうけるやつら
それが戦争の親玉だ
いつのまにか
戦争の親玉たちは
武器輸出を 防衛装備移転と
言い替えさせることに成功した
この国では いろんな言葉が
すり替えられてゆく
僕らは黙ったまま
それを許してしまった
いつのまにか
ウクライナのために
自由と民主主義のために
もうすぐ
タブーはなくなるかもしれない
防衛装備移転にも
もしかしたら
非核三原則にも
そんな日々に
この世界で
君と僕は
天の川の見えない 東京の空の下で
一年に一度しか会えない
あの二人の夜が
もうすぐ やってくる
それは悲しい
哀れな話なのかと
僕は考えるようになった
一年に一度でもいい
もう 一生会えない
永遠に会えない
夫婦がいて 親子がいて
恋人たちがいて
きょうも 訴えている
そんな日々に
この世界で
君と僕は
天の川の見えない 東京の空の下で